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衣手の真若の浦の真砂地
間なく時なし我が恋ふらくは

歌の意味
真若の浦の細かい砂地のように、絶え間もなく時を選ぶこともない、私が恋い慕うことは。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3168

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 真若の浦の細かい砂地を序として、絶え間なく時を選ばずに恋い慕っていると歌う。本巻の第三千八十七首第三千八十八首と同じ結句をもち、寄物陳思の鳥の歌の句が羇旅の歌でも繰り返されている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「衣手の」は、袖をいい、「ま」の音をもつ「真若」にかかる枕詞とされる。
 二句「真若の浦の」は、和歌山市の和歌の浦をいうとされる。
 三句「真砂地」は、細かい砂の地で、ここまでが「ま」の音を重ねて「間なく」を導く序詞となる。
 四句「間なく時なし」は、絶え間もなく、時を選ぶこともない、の意で、本巻の第三千八十八首と同じ句である。
 結句「我が恋ふらくは」は、私が恋い慕うことは、の意で、本巻の第三千八十七首第三千八十八首と同じ結句である。

まなごつち:細かい砂の地
ころもで:袖
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
波の間ゆ雲居に見ゆる粟島の 逢はぬものゆゑ我に寄そる子ら
次の歌
能登の海に釣する海人の漁り火の 光りにいませ月待ちがてり