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難波潟漕ぎ出る舟のはろはろに
別れ来ぬれど忘れかねつも

歌の意味
難波潟を漕ぎ出していく舟が遠ざかっていくように、はるばると別れてきたけれど、忘れることができない。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3171

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 難波潟を漕ぎ出して遠ざかる舟を序として、はるばると別れてきたが忘れられないと歌う。港から遠ざかる舟の姿に、故郷と恋人から離れていく旅の身が重ねられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「難波潟」は、大阪湾の難波の干潟をいう。
 二句「漕ぎ出る舟の」は、漕ぎ出していく舟が、の意で、仮名の行では「こぎづる」と読む。ここまでが遠ざかる舟から「はろはろに」を導く序詞となる。
 三句「はろはろに」は、はるばると、遠く、の意である。
 四句「別れ来ぬれど」は、別れてきたけれど、の意である。
 結句「忘れかねつも」は、忘れることができない、の意で、本巻の第三千四十七首と同じ結句である。

なにはがた:難波の干潟
はろはろ:はるか遠く
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
志賀の海人の釣りし燭せる漁り火の ほのかに妹を見むよしもがも
次の歌
浦廻漕ぐ熊野舟つきめづらしく 懸けて思はぬ月も日もなし