和歌の浦に袖さへ濡れて忘れ貝
拾へど妹は忘らえなくに
- 歌の意味
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和歌の浦で袖まで濡らして忘れ貝を拾うけれど、あの子のことは忘れられないのに。
- 鑑賞
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巻第十二 羇旅発思 3175
詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
和歌の浦で袖まで濡らして忘れ貝を拾っても、恋人は忘れられないと歌う。拾うと恋を忘れるという忘れ貝の名に反して忘れられない心を述べ、本巻の第三千八十四首と同じ発想である。或本では結句を「忘れかねつも」とする。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「和歌の浦に」は、和歌山市の和歌の浦に、の意で、六音の字余りである。
二句「袖さへ濡れて」は、袖まで濡らして、の意で、涙に濡れる意も重ねられる。
三句「忘れ貝」は、拾うと恋を忘れるとされた貝で、本巻の第三千八十四首にも詠まれている。
四句「拾へど妹は」は、拾うけれどあの子は、の意で、仮名の行では「ひりへど」と読む。
結句「忘らえなくに」は、忘れられないのに、の意である。
わすれがひ:二枚貝の片方の殻、拾うと恋を忘れるとされた
ひりふ:拾う
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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漁りする海人の楫音ゆくらかに 妹は心に乗りにけるかも
- 次の歌
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草枕旅にし居れば刈り薦の 乱れて妹に恋ひぬ日はなし