志賀の海人の礒に刈り干すなのりその
名は告りてしを何か逢ひかたき
- 歌の意味
-
志賀の海人が磯で刈って干すなのりその名のように、名は告げてしまったのに、どうして逢いがたいのだろうか。
- 鑑賞
-
巻第十二 羇旅発思 3177
詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
志賀の海人が磯で干すなのりそを序として、名を告げたのにどうして逢いがたいのかと嘆く女の歌である。本巻の第三千七十六首とよく似た歌で、旅人に名を明かした女の嘆きとも解される。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「志賀の海人の」は、志賀島の海人の、の意で、六音の字余りである。
二句「礒に刈り干す」は、磯で刈って干す、の意である。
三句「なのりその」は、海藻のホンダワラで、ここまでが「名告る」を導く序詞となる。
四句「名は告りてしを」は、名は告げてしまったのに、の意で、本巻の第三千七十六首と同じ句である。
結句「何か逢ひかたき」は、どうして逢いがたいのか、の意で、八音の字余りである。
なのりそ:海藻のホンダワラ
かりほす:刈って干す
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
草枕旅にし居れば刈り薦の 乱れて妹に恋ひぬ日はなし
- 次の歌
-
国遠み思ひなわびそ風の共 雲の行くごと言は通はむ