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国遠み思ひなわびそ風の共
雲の行くごと言は通はむ

歌の意味
国が遠いからといって思い嘆かないでください。風と共に雲が流れていくように、便りは通わせましょう。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3178

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 遠い国へ旅立つ男に、国が遠いからといって嘆かないで、風と共に雲が流れるように便りを通わせようと励ます女の歌である。風と雲の比喩に、離れても心を通わせようとする明るい意志が表れている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「国遠み」は、国が遠いので、の意で、本巻の第三千百四十二首と同じ初句である。
 二句「思ひなわびそ」は、思い嘆かないでください、の意で、「な…そ」は禁止を表す。ここで二句切れとなる。
 三句「風の共」は、風と共に、の意で、本巻の第三千七十八首の「波の共」と同じ形である。
 四句「雲の行くごと」は、雲が流れていくように、の意である。
 結句「言は通はむ」は、便りは通わせよう、の意で、離れても言葉を通わせようという決意を示している。

むた:…とともに
かよふ:行き来する、届く
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
志賀の海人の礒に刈り干すなのりその 名は告りてしを何か逢ひかたき
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留まりにし人を思ふに秋津野に 居る白雲のやむ時もなし