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曇り夜のたどきも知らぬ山越えて
います君をばいつとか待たむ

歌の意味
曇った夜のように手がかりもわからない山を越えて行かれるあなたを、いつと思って待てばよいのだろうか。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3186

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 曇った夜のように道のわからない山を越えて旅立つ相手を、いつ帰ると思って待てばよいのかと不安に思う女の歌である。見通しのきかない夜の山が、帰りの見えない旅への不安を表している。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「曇り夜の」は、曇った夜のように、の意で、手がかりのないことから「たどきも知らぬ」を導いている。
 二句「たどきも知らぬ」は、手がかりもわからない、の意である。
 三句「山越えて」は、山を越えて、の意である。
 四句「います君をば」は、行かれるあなたを、の意で、「います」は尊敬語である。
 結句「いつとか待たむ」は、いつと思って待てばよいだろうか、の意で、本巻の第二千九百四十六首と同じ結句である。

たどき:手がかり、手段
います:行かれる、おいでになる
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
まそ鏡手に取り持ちて見れど飽かぬ 君に後れて生けりともなし
次の歌
たたなづく青垣山の隔なりなば しばしば君を言問はじかも