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あしひきの山は百重に隠すとも
妹は忘れじ直に逢ふまでに

歌の意味
山々が幾重にも重なって隠しても、あの子のことは忘れまい。直接逢うまでは。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3189

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 山々が幾重にも重なって隔てても、直接逢うまでは恋人を忘れまいと誓う歌である。一云では下三句を「隠せども君を思はくやむ時もなし」とし、女の立場の歌となっている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
 二句「山は百重に」は、山々が幾重にも重なって、の意で、本巻の第二千九百二首の「百重なす」と同じく、数の誇張で隔たりの大きさを表している。
 三句「隠すとも」は、隠しても、の意である。
 四句「妹は忘れじ」は、あの子のことは忘れまい、の意である。
 結句「直に逢ふまでに」は、直接逢うまでは、の意で、本巻の第二千八百四十六首第二千九百五十九首と同じ結句である。

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作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
朝霞たなびく山を越えて去なば 我れは恋ひむな逢はむ日までに
次の歌
雲居なる海山越えてい行きなば 我れは恋ひむな後は逢ひぬとも