古典和歌stream

草蔭の荒藺の崎の笠島を
見つつか君が山道越ゆらむ

歌の意味
荒藺の崎の笠島を眺めながら、あなたは今ごろ山道を越えているのだろうか。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3192

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 今ごろ荒藺の崎の笠島を眺めながら山道を越えているだろうかと、旅立った男の道中を思いやる女の歌である。一云では結句を「み坂越ゆらむ」とする。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「草蔭の」は、「荒藺」にかかる枕詞とされるが、かかり方には諸説がある。
 二句「荒藺の崎の」は、荒藺の崎の、の意で、所在には諸説がある。
 三句「笠島を」は、笠島を、の意で、荒藺の崎の近くの島とされる。
 四句「見つつか君が」は、眺めながらあなたは、の意で、「か」は疑問を表し、結句の「らむ」と呼応する。
 結句「山道越ゆらむ」は、今ごろ山道を越えているのだろう、の意で、次歌の第三千百九十三首も同じ結句で結ばれている。

やまぢ:山道
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
よしゑやし恋ひじとすれど木綿間山 越えにし君が思ほゆらくに
次の歌
玉かつま島熊山の夕暮れに ひとりか君が山道越ゆらむ