古典和歌stream

住吉の岸に向へる淡路島
あはれと君を言はぬ日はなし

歌の意味
住吉の岸に向かい合っている淡路島の名のように、ああいとしいと、あなたのことを言わない日はない。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3197

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 住吉の岸の向かいの淡路島を序として、ああいとしいとあなたのことを言わない日はないと歌う。「淡路」の「あは」の音から「あはれ」を導く技巧が見どころである。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「住吉の」は、大阪市住吉区のあたりで、仮名の行では「すみのえ」と読む。本巻の第三千七十六首にも同じ地名が見える。
 二句「岸に向へる」は、岸に向かい合っている、の意である。
 三句「淡路島」は、兵庫県の淡路島で、ここまでが「あは」の音から「あはれ」を導く序詞となる。
 四句「あはれと君を」は、ああいとしいとあなたを、の意である。
 結句「言はぬ日はなし」は、言わない日はない、の意である。

あはれ:ああ、と心に深く感じる意の語
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
春日野の浅茅が原に遅れ居て 時ぞともなし我が恋ふらくは
次の歌
明日よりはいなむの川の出でて去なば 留まれる我れは恋ひつつやあらむ