明日よりはいなむの川の出でて去なば
留まれる我れは恋ひつつやあらむ
- 歌の意味
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明日からは、印南の川の名のように、あなたが出て行ってしまったならば、後に残った私は恋しく思い続けているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 悲別歌 3198
詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
印南の川の名から「去なむ」を導き、明日相手が旅立ってしまえば、残された自分は恋い続けることになるだろうかと案じる女の歌である。地名に掛けた技巧の中に、別れを前にした不安が表れている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「明日よりは」は、明日からは、の意である。
二句「いなむの川の」は、兵庫県の加古川の下流をいうとされ、「去なむ」の音を響かせている。
三句「出でて去なば」は、出て行ってしまったならば、の意で、六音の字余りである。
四句「留まれる我れは」は、後に残った私は、の意である。本巻の第三千百七十九首の「留まりにし人」とは、旅立つ側と残される側の立場が入れ替わっている。
結句「恋ひつつやあらむ」は、恋しく思い続けているのだろうか、の意で、八音の字余りである。
いぬ:去る、行ってしまう
とまる:後に残る、留まる
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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住吉の岸に向へる淡路島 あはれと君を言はぬ日はなし
- 次の歌
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海の底沖は畏し礒廻より 漕ぎ廻みいませ月は経ぬとも