古典和歌stream

飼飯の浦に寄する白波しくしくに
妹が姿は思ほゆるかも

歌の意味
飼飯の浦に寄せる白波のように、しきりに妻の姿が思われることだ。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3200

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 飼飯の浦に繰り返し寄せる白波を序として、しきりに妻の姿が思われると歌う。旅先の淡路の浦から、家に残した妻を思う男の心が述べられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「飼飯の浦に」は、兵庫県淡路島の西岸の浦に、の意で、六音の字余りである。
 二句「寄する白波」は、寄せる白波で、ここまでが「しくしくに」を導く序詞となる。本巻の第三千二十九首も同じ二句をもっている。
 三句「しくしくに」は、しきりに、繰り返し、の意である。
 四句「妹が姿は」は、妻の姿は、の意である。
 結句「思ほゆるかも」は、自然と思われることだ、の意である。

しくしくに:しきりに、繰り返し
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
海の底沖は畏し礒廻より 漕ぎ廻みいませ月は経ぬとも
次の歌
時つ風吹飯の浜に出で居つつ 贖ふ命は妹がためこそ