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時つ風吹飯の浜に出で居つつ
贖ふ命は妹がためこそ

歌の意味
吹飯の浜に出ていて、神に供え物をして無事を祈るこの命は、妻のためなのだ。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3201

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 吹飯の浜に出て神に供え物をし、旅の無事を祈るのは、ほかでもない妻のためだと歌う男の歌である。旅の安全を祈る行為に、再び妻に逢いたいという思いが込められている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「時つ風」は、潮の満ちる時に吹く風の意で、「吹く」と同音の「吹飯」にかかる枕詞である。
 二句「吹飯の浜に」は、大阪府岬町深日の浜に、の意とされる。
 三句「出で居つつ」は、出ていて、の意である。
 四句「贖ふ命は」は、神に供え物をして無事を祈る命は、の意である。
 結句「妹がためこそ」は、妻のためなのだ、の意で、言いさしの形で強調している。

あかふ:神に供え物をして無事を祈る
ときつかぜ:潮の満ちる時に吹く風、「吹く」にかかる枕詞
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
飼飯の浦に寄する白波しくしくに 妹が姿は思ほゆるかも
次の歌
熟田津に舟乗りせむと聞きしなへ 何ぞも君が見え来ずあるらむ