熟田津に舟乗りせむと聞きしなへ
何ぞも君が見え来ずあるらむ
- 歌の意味
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熟田津で舟に乗ろうとしていると聞いたのに、どうしてあなたは姿を見せに来ないのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 悲別歌 3202
詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
熟田津で舟に乗ると聞いたのに、なぜ姿を見せに来ないのかといぶかる女の歌である。舟出の前に一目逢いたいと待つ心が述べられている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「熟田津に」は、愛媛県松山市のあたりにあった港に、の意である。
二句「舟乗りせむと」は、舟に乗ろうとしていると、の意である。
三句「聞きしなへ」は、聞いたのに、聞いたちょうどその時に、の意である。
四句「何ぞも君が」は、どうしてあなたは、の意で、結句の「らむ」と呼応する。
結句「見え来ずあるらむ」は、姿を見せに来ないのだろう、の意で、八音の字余りである。
ふなのり:舟に乗ること、船出
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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時つ風吹飯の浜に出で居つつ 贖ふ命は妹がためこそ
- 次の歌
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みさご居る洲に居る舟の漕ぎ出なば うら恋しけむ後は逢ひぬとも