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みさご居る洲に居る舟の漕ぎ出なば
うら恋しけむ後は逢ひぬとも

歌の意味
みさごのいる洲に停まっている舟が漕ぎ出してしまったならば、心の中で恋しく思うだろう。後には逢えるとしても。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3203

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 みさごのいる洲に停まる舟が漕ぎ出してしまえば、後に逢えるとしても心の中で恋しく思うだろうと、舟出を前に歌う。本巻の第三千百九十首と同じ結句で、別れの間の恋しさを述べている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「みさご居る」は、みさごのいる、の意で、本巻の第三千七十七首にも見える。
 二句「洲に居る舟の」は、洲に停まっている舟が、の意である。
 三句「漕ぎ出なば」は、漕ぎ出してしまったならば、の意で、仮名の行では「こぎでなば」と読む。
 四句「うら恋しけむ」は、心の中で恋しく思うだろう、の意で、ここで四句切れとなる。
 結句「後は逢ひぬとも」は、後には逢えるとしても、の意で、本巻の第三千百九十首と同じ結句である。

す:洲、水中に土砂がたまった所
うらごほし:心の中で恋しい
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
熟田津に舟乗りせむと聞きしなへ 何ぞも君が見え来ずあるらむ
次の歌
玉葛幸くいまさね山菅の 思ひ乱れて恋ひつつ待たむ