古典和歌stream

玉葛幸くいまさね山菅の
思ひ乱れて恋ひつつ待たむ

歌の意味
どうかご無事でいらしてください。山菅のように思い乱れながら、恋しく思い続けて待っていよう。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3204

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 旅立つ男の無事を祈り、山菅の葉が乱れるように思い乱れながら恋しく思って待っていようと歌う女の歌である。無事を祈る言葉と待つ決意とが一首の中に述べられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「玉葛」は、蔓草の美称で、蔓が長く続くことから、旅の無事が続くことを願う意で「幸く」にかかるとされる。
 二句「幸くいまさね」は、どうかご無事でいらしてください、の意で、「ね」は願望を表す。ここで二句切れとなる。
 三句「山菅の」は、山菅の葉が乱れることから「乱れ」にかかる枕詞である。
 四句「思ひ乱れて」は、思い乱れて、の意である。
 結句「恋ひつつ待たむ」は、恋しく思い続けて待っていよう、の意である。

さきく:無事に、幸いに
やますげ:山に生えるスゲ、一説にヤブランとも
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
みさご居る洲に居る舟の漕ぎ出なば うら恋しけむ後は逢ひぬとも
次の歌
後れ居て恋ひつつあらずは田子の浦の 海人ならましを玉藻刈る刈る