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筑紫道の荒礒の玉藻刈るとかも
君が久しく待てど来まさぬ

歌の意味
筑紫への道の荒磯の玉藻を刈っているからだろうか。あなたは長く待っていてもおいでにならない。
鑑賞
巻第十二 悲別歌 3206

詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
 筑紫への道の荒磯で玉藻を刈ってでもいるのか、長く待っても来ないと、帰りの遅い男をいぶかる女の歌である。前歌の玉藻を受け、旅先で心を移しているのではという不安もにじむ。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「筑紫道の」は、筑紫へ向かう道の、の意である。
 二句「荒礒の玉藻」は、荒磯の美しい藻を、の意で、前歌の玉藻を受けている。
 三句「刈るとかも」は、刈っているからだろうか、の意で、「かも」は疑問を表し、結句の連体形「ぬ」で結ぶ。
 四句「君が久しく」は、あなたは長く、の意である。
 結句「待てど来まさぬ」は、待っていてもおいでにならない、の意である。

つくしぢ:筑紫へ向かう道
ありそ:岩の多い荒れた磯
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
後れ居て恋ひつつあらずは田子の浦の 海人ならましを玉藻刈る刈る
次の歌
あらたまの年の緒長く照る月の 飽かざる君や明日別れなむ