- 歌の意味
- 春日の御笠の山にかかる雲を、外に出て見るたびに、あなたのことを思う。
- 鑑賞
-
巻第十二 悲別歌 3209
詞書は前の歌に続き「別れを悲しぶる歌」
春日の御笠山にかかる雲を見るたびに、旅に出た相手を思うと歌う女の歌である。雲の行方に遠く旅する人を重ね、都に残った者の思いを述べている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「春日なる」は、春日にある、の意である。
二句「御笠の山に」は、奈良市の御笠山に、の意で、本巻の第三千六十六首にも詠まれている。
三句「居る雲を」は、かかっている雲を、の意である。
四句「出で見るごとに」は、外に出て見るたびに、の意である。
結句「君をしぞ思ふ」は、あなたのことを思う、の意で、本巻の第二千九百五十二首第三千八十九首と同じ結句である。
ゐる:雲などがかかる
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 久にあらむ君を思ふにひさかたの 清き月夜も闇の夜に見ゆ
- 次の歌
- あしひきの片山雉立ち行かむ 君に後れてうつしけめやも