玉の緒の現し心や八十楫懸け
漕ぎ出む船に後れて居らむ
- 歌の意味
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正気のままでいられようか。多くの櫂を取り付けて漕ぎ出していく船に、取り残されていて。
- 鑑賞
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巻第十二 問答歌 3211
詞書「問答の歌」
多くの櫂を取り付けて漕ぎ出す船に取り残されて、正気でいられようかと嘆く女の歌である。次歌の男の答えと一組の問答をなし、船出の別れを両者の立場から歌っている。詞書の「問答の歌」は、問いかけの歌とそれに答える歌とを組にして収める部立であることを示す。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「玉の緒の」は、「現し心」にかかる枕詞とされるが、かかり方には諸説がある。
二句「現し心や」は、正気でいられようか、の意で、「や」は反語を表し、結句の連体形「む」で結ぶ。本巻の第二千九百六十首にも「現し心」の語が見える。
三句「八十楫懸け」は、多くの櫂を取り付けて、の意で、大きな船の様子をいう。次歌も同じ句で歌い出している。
四句「漕ぎ出む船に」は、漕ぎ出していく船に、の意である。
結句「後れて居らむ」は、取り残されていて、の意である。
やそか:多くの櫂
うつしごころ:正気、しっかりした心
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの片山雉立ち行かむ 君に後れてうつしけめやも
- 次の歌
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八十楫懸け島隠りなば我妹子が 留まれと振らむ袖見えじかも