八十楫懸け島隠りなば我妹子が
留まれと振らむ袖見えじかも
- 歌の意味
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多くの櫂を取り付けた船が島陰に隠れてしまったならば、いとしい妻が留まれと振るであろう袖も、見えなくなってしまうだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 問答歌 3212
詞書は前の歌に続き「問答の歌」
船が島陰に隠れてしまえば、留まれと振る妻の袖も見えなくなるだろうと、前歌に答える男の歌である。前歌と同じ句で歌い出し、船上から岸の妻を見つめる別れの情景が描かれている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「八十楫懸け」は、多くの櫂を取り付けて、の意で、前歌の三句を受けている。
二句「島隠りなば」は、島陰に隠れてしまったならば、の意である。
三句「我妹子が」は、いとしい妻が、の意である。
四句「留まれと振らむ」は、留まれと振るであろう、の意である。
結句「袖見えじかも」は、袖も見えなくなるだろうか、の意で、本巻の第三千百八十四首で人目のために振れなかった袖と対照をなしている。
しまがくる:島陰に隠れる
そでふる:別れの際などに袖を振る
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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玉の緒の現し心や八十楫懸け 漕ぎ出む船に後れて居らむ
- 次の歌
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十月しぐれの雨に濡れつつか 君が行くらむ宿か借るらむ