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十月しぐれの雨に濡れつつか
君が行くらむ宿か借るらむ

歌の意味
十月の時雨の雨に濡れながら、あなたは旅を続けているのだろうか。それとも宿を借りているのだろうか。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3213

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 十月の時雨に濡れながら旅を続けているのか、宿を借りているのかと、旅の男を案じる女の歌である。次歌の男の答えと一組の問答をなしている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「十月」は、陰暦十月で、仮名の行では「かむなづき」と読む。次歌も同じ初句で答えている。
 二句「しぐれの雨に」は、晩秋から初冬に降る時雨に、の意である。
 三句「濡れつつか」は、濡れながらか、の意で、「か」は疑問を表す。
 四句「君が行くらむ」は、あなたは旅を続けているのだろう、の意で、ここで四句切れとなる。
 結句「宿か借るらむ」は、それとも宿を借りているのだろうか、の意で、四句と対をなしている。

かむなづき:陰暦十月
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
八十楫懸け島隠りなば我妹子が 留まれと振らむ袖見えじかも
次の歌
十月雨間も置かず降りにせば いづれの里の宿か借らまし