古典和歌stream

白栲の袖の別れを難みして
荒津の浜に宿りするかも

歌の意味
袖を分かつ別れがつらいので、荒津の浜に宿をとっていることだ。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3215

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 袖を分かつ別れがつらいので、船出を延ばして荒津の浜に宿をとっていると歌う男の歌である。次歌の女の答えと一組の問答をなしている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「白栲の」は、「袖」にかかる枕詞である。
 二句「袖の別れを」は、袖を分かつ別れを、の意で、本巻の第三千百八十二首と同じ句である。
 三句「難みして」は、つらいので、の意である。
 四句「荒津の浜に」は、福岡市の荒津の浜に、の意で、筑紫からの船出の港である。次の第三千二百十六首第三千二百十七首にも荒津が詠まれている。
 結句「宿りするかも」は、宿をとっていることだ、の意である。

かたむ:難しく思う、つらく思う
やどり:宿をとること
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
十月雨間も置かず降りにせば いづれの里の宿か借らまし
次の歌
草枕旅行く君を荒津まで 送りぞ来ぬる飽き足らねこそ