豊国の企救の長浜行き暮らし
日の暮れゆけば妹をしぞ思ふ
- 歌の意味
-
豊国の企救の長浜を一日歩き暮らして、日が暮れていくと、妻のことばかりを思う。
- 鑑賞
-
巻第十二 問答歌 3219
詞書は前の歌に続き「問答の歌」
豊国の企救の長浜を一日歩いて日が暮れていくと、妻のことばかりが思われると歌う男の歌である。次の巻末の歌と一組の問答をなし、日の暮れゆく浜辺での旅の思いが述べられている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「豊国の」は、今の福岡県東部と大分県にあたる国の、の意で、次歌も同じ初句で答えている。
二句「企救の長浜」は、福岡県北九州市の企救の長い浜で、本巻の第三千百三十首にも企救の浜が詠まれている。
三句「行き暮らし」は、一日歩き暮らして、の意である。
四句「日の暮れゆけば」は、日が暮れていくと、の意で、本巻の第二千九百一首と同じ句である。
結句「妹をしぞ思ふ」は、妻のことばかりを思う、の意で、「ぞ」は連体形「思ふ」で結ぶ。
ゆきくらす:一日中歩いて過ごす
ながはま:長く続く浜
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
朝な朝な筑紫の方を出で見つつ 音のみぞ我が泣くいたもすべなみ
- 次の歌
-
豊国の企救の高浜高々に 君待つ夜らはさ夜更けにけり