豊国の企救の高浜高々に
君待つ夜らはさ夜更けにけり
- 歌の意味
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豊国の企救の高浜の名のように、背伸びしてあなたを待つ夜は、すっかり更けてしまった。
- 鑑賞
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巻第十二 問答歌 3220
詞書は前の歌に続き「問答の歌」
企救の高浜の名から「高々に」を導き、背伸びして男を待つうちに夜がすっかり更けてしまったと歌う女の歌である。前歌の男の歌と同じ初句で答え、浜辺で日の暮れに妻を思う男と、夜更けまで待つ女とが一組をなしている。巻末の歌であり、巻頭の第二千八百四十一首が朝の別れを歌ったのに対し、夜更けまで待つ恋で巻を閉じる呼応が見られる。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「豊国の」は、前歌と同じ初句で、男の歌に答えている。
二句「企救の高浜」は、企救の高い浜で、ここまでが「高」の音を重ねて「高々に」を導く序詞となる。前歌の「長浜」に対して「高浜」としている。
三句「高々に」は、背伸びをして待ちわびるさまをいう。本巻の第二千九百九十七首では男が「妹が待つらむ」と待つ女を思いやっており、ここでは女の側から同じ姿を歌っている。
四句「君待つ夜らは」は、あなたを待つ夜は、の意で、「ら」は接尾語である。
結句「さ夜更けにけり」は、夜がすっかり更けてしまった、の意である。巻頭の第二千八百四十一首が朝明の別れを歌うのに対し、巻末のこの歌は夜更けまで待つ恋を歌い、朝から夜へと一巻の恋を閉じている。
たかはま:高い浜、または地名
さよ:夜、「さ」は接頭語
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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豊国の企救の長浜行き暮らし 日の暮れゆけば妹をしぞ思ふ
- 次の歌
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ひとりのみ見れば恋しみ神なびの 山の黄葉手折り来り君