神なびの三諸の山に斎ふ杉
思ひ過ぎめや苔生すまでに
- 歌の意味
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神なびの三諸の山に大切に祀られている杉、その名のように思いが過ぎ去ることがあろうか。苔が生えるほど長い年月がたっても。
- 鑑賞
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巻第十三 雑歌 3228
詞書「反歌」
長歌(第三千二百二十七首)の反歌である。三諸の山の神木の杉を序として、思いが消え去ることはないと誓う。長歌は「石枕苔生すまでに新夜の幸く通はむ」と、末長く通い続けることを神に祈る歌で、反歌は同じ「苔生すまでに」で結んで誓いを重ねる。婚礼や新婚を言祝ぐ歌とみる説がある。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「神なびの」は、神の降りる山を示す語で、次の「三諸の山」とともに神域を重ねて示す。
二句「三諸の山に」の「三諸」は神の鎮まる所をいう語で、一般に三輪山を指すとされる。
三句「斎ふ杉」は、神木として大切に祀られている杉で、ここまでが「過ぎ」を導く序詞である。「杉」と「過ぎ」の同音で四句へつなぐ。
四句「思ひ過ぎめや」の「めや」は推量「む」の已然形「め」に係助詞「や」が付いた反語で、「思いが過ぎ去ることがあろうか、いやない」と強く打ち消す。ここで句切れとなる。
結句「苔生すまでに」は、苔が生えるほど長い時がたつまでもの意で、長歌の同じ句を受け、永遠を誓う言葉として倒置の形で添えられる。
みもろ:神が降臨して鎮まる所、神の山や森
いはふ:神聖なものとして大切に守り祀る
こけむす:苔が生える、長い年月がたつことのたとえ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さざれ波浮きて流るる泊瀬川 寄るべき礒のなきが寂しさ
- 次の歌
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斎串立てみわ据ゑ奉る祝部が うずの玉かげ見ればともしも