天なるや月日のごとく我が思へる
君が日に異に老ゆらく惜しも
- 歌の意味
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天にある月や日のように、私が仰ぎ大切に思っているあなたが、日ごとに老いていくのが惜しくてならない。
- 鑑賞
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巻第十三 雑歌 3246
詞書「反歌」
長歌(第三千二百四十五首)の反歌である。月や日のように尊く思う相手が日ごとに老いていくことを惜しむ。長歌は天への橋や高い山を願い、月読の神が持つ若返りの「をち水」を取ってきて君に奉り、若返らせたいと歌う。反歌はその願いがかなわぬ現実に立ち返り、老いを惜しむ心で結ぶ。次の長歌の第三千二百四十七首も「君が老ゆらく惜しも」で結んでおり、老いを嘆く寿歌がここに並んでいる。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「天なるや」の「なる」は存在を表す「にあり」のつまった形、「や」は間投助詞で、天にあるという意に語調を添える。
二句「月日のごとく」は、月や日のようにの意で、相手を仰ぎ見る尊い存在にたとえる。長歌の「月夜見」を受ける表現でもある。
三句「我が思へる」は、私が思っているの意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
四句「君が日に異に」の「日に異に」は、日ごとにますますの意で、老いが日々進む様子をいう。
結句「老ゆらく惜しも」の「老ゆらく」はク語法で、老いていくことの意である。形容詞「惜し」に終助詞「も」が付き、詠嘆を込めて結ぶ。次の第三千二百四十七首の結句と同じ句である。
をちみづ:飲むと若返るとされた水
つくよみ:月の神、月そのもの
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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阿胡の海の荒礒の上のさざれ波 我が恋ふらくはやむ時もなし
- 次の歌
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磯城島の大和の国に人ふたり ありとし思はば何か嘆かむ