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磯城島の大和の国は言霊の
助くる国ぞま幸くありこそ

歌の意味
この大和の国は、言葉に宿る霊力が助けてくれる国である。どうか無事でいてほしい。
鑑賞
巻第十三 相聞 3254

詞書「反歌」
 柿本朝臣人麻呂歌集の歌とされる長歌(第三千二百五十三首)の反歌である。大和の国は言霊が助ける国であるから、言葉に出して祈れば旅立つ人は無事でいられると、言葉の力に願いを託す。長歌は、神のままに言挙げをしない国であっても、言挙げぞ我がすると、あえて言葉に出して相手の無事を祈る。遣唐使を送る歌とみる説があり、山上憶良の好去好来歌(巻第五の第八百九十四首)の「言霊の幸はふ国」と並び、言霊の語を伝える代表的な歌である。
 作者は未詳である。題詞に「柿本朝臣人麻呂歌集の歌に曰く」とあり、柿本人麻呂が編んだとされる歌集から採られた歌であるが、人麻呂自身の作か、ほかの人の歌を書き留めたものかは定まらない。

 初句「磯城島の」は「大和」にかかる枕詞で、本巻の第三千二百四十九首と初句を同じくし、二句もほぼ重なる。
 二句「大和の国は」は、日本の国を指し、係助詞「は」で主題を示して国のあり方を説き起こす。
 三句「言霊の」の「言霊」は、言葉に宿ると信じられた霊力のことで、口に出した言葉どおりの事が実現するという信仰を表す。
 四句「助くる国ぞ」は、言霊が助けてくれる国であるぞの意で、係助詞「ぞ」で強く言い切り、ここで句切れとなる。
 結句「ま幸くありこそ」の「ま」は美称の接頭語、「こそ」は願望の終助詞で、「どうか無事でいてほしい」と祈りを込めて結ぶ。

ことだま:言葉に宿ると信じられた霊力
ことあげ:言葉に出してはっきり言い立てること
出典
万葉集
前の歌
ひさかたの都を置きて草枕 旅行く君をいつとか待たむ
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しくしくに思はず人はあるらめど しましくも我は忘らえぬかも