かくのみし相思はずあらば天雲の
外にぞ君はあるべくありける
- 歌の意味
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これほどまでに互いに思い合うことがないのなら、天の雲のように遠く隔たった所に、あなたはいるべきであったのだ。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3259
詞書「反歌」
長歌(第三千二百五十八首)の反歌である。年が改まっても使いの来ない相手を待ち続け、日が暮れると袖まで涙に濡れると歌う長歌の嘆きを受け、互いに思い合わないのなら、初めから雲の彼方のような無縁の人でいればよかったと恨む。待つ苦しみが、出会いそのものを悔いる思いへと転じている。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「かくのみし」は、これほどまでにの意で、「し」は強意の副助詞である。
二句「相思はずあらば」は、互いに思い合わないのならばの意で、相手の心の冷たさを仮定の形で責める。
三句「天雲の」は、空の雲のようにの意で「外」にかかり、遠く隔たったもののたとえとなる。
四句「外にぞ君は」の「外」は、自分と関わりのない遠い所の意で、係助詞「ぞ」が結句に係る。
結句「あるべくありける」は、いるはずであったのだの意で、係助詞「ぞ」の結びとして「けり」が連体形「ける」となる係り結びである。今さら気づいた悔いを詠嘆する。
よそ:自分と関わりのない所、遠く離れた所
あまくも:空の雲
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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直に来ずこゆ巨勢道から岩せ踏み なづみぞ我が来し恋ひてすべなみ
- 次の歌
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思ひ遣るすべのたづきも今はなし 君に逢はずて年の経ぬれば