思ひ遣るすべのたづきも今はなし
君に逢はずて年の経ぬれば
- 歌の意味
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思いを晴らす手立ても今はもうない。あなたに逢わないままで年が過ぎてしまったので。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3261
詞書「反歌」
長歌(第三千二百六十首)の反歌である。逢えないまま年が過ぎ、もはや恋しさを晴らす手立てもないと嘆く。長歌は、小治田の年魚道の水を人が絶え間なく汲み、時を選ばず飲むように、妹への恋がやむ時もないと歌う男の歌である。左注に「今案ずるに、この反歌に『君に逢はず』というのは理に合わない。『妹に逢はず』というべきである」とあり、長歌の男の立場と反歌の「君」との食い違いを編者が指摘している。ここでは本文の「君」に従う。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「思ひ遣る」は、思いを晴らす、心を慰めるの意で、思いを遠くへ送りやって紛らすことをいう。
二句「すべのたづきも」の「すべ」は方法、「たづき」は手がかりで、似た意味の語を重ねて手立てのなさを強める。
三句「今はなし」は、今はもうないの意で、ここで句切れとなる。
四句「君に逢はずて」の「ずて」は打消の連用形に接続助詞「て」が付いた形で、逢わないままでの意である。左注はこの「君」を「妹」とすべきだと述べる。
結句「年の経ぬれば」は、年が過ぎてしまったのでの意で、已然形に「ば」が付いた確定条件として、三句までの理由を倒置して示す。
おもひやる:思いを晴らす、心を慰める
たづき:手がかり、手段
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かくのみし相思はずあらば天雲の 外にぞ君はあるべくありける
- 次の歌
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瑞垣の久しき時ゆ恋すれば 我が帯緩ふ朝宵ごとに