年渡るまでにも人はありといふを
いつの間にぞも我が恋ひにける
- 歌の意味
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年が改まるまでも逢わずに過ごす人もいるというのに、いつの間に私はこんなにも恋しく思うようになったのだろう。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3264
詞書「反歌」
長歌(第三千二百六十三首)の反歌である。一年に一度の逢瀬を待つ人もいるというのに、自分はいつの間にこれほど恋しく思うようになったのかと、抑えきれない恋心に驚く。「年渡るまで」は七夕の牽牛と織女が年に一度逢うことを踏まえるとされる。長歌は泊瀬の川に斎杭と真杭を打ち、鏡と玉を懸けて、思う妹がいるならば国にも家にも行こうと歌うもので、左注は『古事記』に木梨軽太子が自死した時の歌とあると伝える。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「年渡る」は、年が過ぎて改まる意で、一年という長い隔たりを示す。
二句「までにも人は」は、年が改まるまでも逢わずにいる人はの意で、七夕の二星の逢瀬を念頭に置くとされる。
三句「ありといふを」の「を」は逆接の接続助詞で、「いるというのに」と自分と対比する。
四句「いつの間にぞも」は、いつの間にの意で、係助詞「ぞ」と「も」で疑問と詠嘆を強める。
結句「我が恋ひにける」は、私は恋するようになってしまったことかの意で、係助詞「ぞ」の結びとして「けり」が連体形「ける」となる係り結びである。
としわたる:年が過ぎて改まる
- 出典
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万葉集
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瑞垣の久しき時ゆ恋すれば 我が帯緩ふ朝宵ごとに
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世の中を憂しと思ひて家出せし 我れや何にか還りてならむ