明日香川瀬々の玉藻のうち靡き
心は妹に寄りにけるかも
- 歌の意味
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明日香川の瀬ごとに生える美しい藻がなびき寄るように、私の心はすっかりあの子に寄っていってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3267
詞書「反歌」
長歌(第三千二百六十六首)の反歌である。明日香川の瀬々になびく玉藻を序として、心がすっかり妹に寄ってしまったと詠む。長歌は、春は花が咲き、秋は紅葉に彩られる神奈備山と、その山を帯のようにめぐる明日香川を描き、早瀬になびく玉藻のように心を寄せた隠り妻にようやく逢えた喜びを歌う。反歌は長歌の序の部分を凝縮した形で、心の寄る様を流れになびく藻に重ねる。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「明日香川」は、飛鳥の地を流れる川で、長歌の「明日香の川」を受ける。
二句「瀬々の玉藻の」は、あちこちの瀬に生える美しい藻の意で、「玉」は美称の接頭語である。格助詞「の」は「〜のように」と比喩を表す。
三句「うち靡き」は、流れに従ってなびくの意で、ここまでが心の寄る様を導く序詞である。長歌の「うち靡き心は寄りて」と同じ表現を用いる。
四句「心は妹に」は、心はあの子にの意で、序の景から一転して恋の主題を示す。
結句「寄りにけるかも」は、寄ってしまったことだなあの意で、完了の「ぬ」と過去の「けり」に詠嘆の「かも」を重ねて深い感慨を表す。
たまも:美しい藻、藻をほめていう語
うちなびく:なびき伏す、従い寄る
- 出典
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万葉集
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世の中を憂しと思ひて家出せし 我れや何にか還りてならむ
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帰りにし人を思ふとぬばたまの その夜は我れも寐も寝かねてき