我が心焼くも我れなりはしきやし
君に恋ふるも我が心から
- 歌の意味
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私の心を焦がすのも私自身である。いとしいあなたに恋い焦がれるのも、私の心から起こることなのだ。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3271
詞書「反歌」
長歌(第三千二百七十首)の反歌である。嫉妬に身を焦がすのも、相手を恋い慕うのも、すべて自分の心から出たことだと自らに言い聞かせる。長歌は、焼いてしまいたいような粗末な小屋に破れ薦を敷いて、醜い女と手を交わして寝ているであろう男を思い、昼も夜も床が鳴るほど嘆いたと誇張して歌うもので、宴席で笑いを誘う歌とみる説もある。反歌は一転して自らを省みる冷静さを示し、長歌の激しさとの落差が味わいを生んでいる。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「我が心」は、私の心をの意で、結句の「我が心から」と同じ語で一首を挟み込む構成をとる。
二句「焼くも我れなり」は、焦がすのも私自身であるの意で、嫉妬の苦しみの原因を自分に帰し、ここで句切れとなる。
三句「はしきやし」は、いとしい、なつかしいの意の連語で、四句の「君」にかかる。
四句「君に恋ふるも」は、あなたに恋するのもの意で、二句の「焼くも」と「も」を重ねて対句風に並べる。
結句「我が心から」は、私の心から起こるのだの意で、初句と照応して一首を閉じる。
やく:心を焦がす、思い悩ませる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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帰りにし人を思ふとぬばたまの その夜は我れも寐も寝かねてき
- 次の歌
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二つなき恋をしすれば常の帯を 三重結ぶべく我が身はなりぬ