二つなき恋をしすれば常の帯を
三重結ぶべく我が身はなりぬ
- 歌の意味
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二つとない恋をしているので、いつもの帯を三重に巻いて結べるほど、私の体はやせ細ってしまった。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3273
詞書「反歌」
長歌(第三千二百七十二首)の反歌である。比べるもののない恋に苦しみ、いつもの帯が三重にも巻けるほどやせ細ったと詠む。長歌は、心に思っていた小野にその里人が標を結ったと聞いてから、立つことも座ることもままならず思い乱れると歌うもので、思う人をほかの人にとられた嘆きとされる。帯の緩みで恋のやつれを表す発想は『遊仙窟』に学んだものとされ、本巻の第三千二百六十二首とも通い合う。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「二つなき」は、二つとない、比べるもののないの意で、恋の深さをまず示す。
二句「恋をしすれば」の「し」は強意の副助詞で、已然形「すれ」に「ば」が付いて確定条件を表し、「恋をしているので」の意となる。
三句「常の帯を」は、ふだん締めている帯をの意で、身体の変化を測る目安として示す。字余りの句である。
四句「三重結ぶべく」は、三重に巻いて結べるほどにの意で、誇張によってやせ細った身を強調する。
結句「我が身はなりぬ」は、私の身はなってしまったの意で、完了の「ぬ」で恋の結果を言い切る。
しめ:土地の領有や立入禁止を示すために張る縄や目印
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が心焼くも我れなりはしきやし 君に恋ふるも我が心から
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ひとり寝る夜を数へむと思へども 恋の繁きに心どもなし