今さらに恋ふとも君に逢はめやも
寝る夜をおちず夢に見えこそ
- 歌の意味
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今さら恋しく思っても、あなたに逢えるだろうか、逢えはしない。せめて寝る夜はいつも欠かさず夢に現れてほしい。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3283
詞書は前の歌に続き「反歌」
前の反歌に続く一首で、右四首の結びにあたる。今さら恋しく思っても逢うことはできないと諦め、せめて夜ごとの夢に現れてほしいと願う。長歌(第三千二百八十首)の「うつつには君には逢はず夢にだに逢ふと見えこそ」をそのまま受け、一連の待つ女の嘆きを夢への願いで締めくくっている。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「今さらに」は、今になってさらにの意で、長歌の「今さらに君来まさめや」を受ける。
二句「恋ふとも君に」の「とも」は逆接の仮定で、「恋しく思っても」の意となる。
三句「逢はめやも」の「めや」は反語で、「も」が詠嘆を添え、「逢えるだろうか、逢えはしない」と打ち消す。ここで句切れとなる。
四句「寝る夜をおちず」の「おちず」は、欠かさず、漏らさずの意で、毎夜を求める切実さを表す。
結句「夢に見えこそ」の「夢」は「いめ」と読み、「こそ」は願望の終助詞で、「夢に現れてほしい」と結ぶ。長歌の「夢にだに逢ふと見えこそ」と同じ結びである。
いめ:夢
おつ:漏れる、欠ける
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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衣手にあらしの吹きて寒き夜を 君来まさずはひとりかも寝む
- 次の歌
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たらちねの母にも言はずつつめりし 心はよしゑ君がまにまに