たらちねの母にも言はずつつめりし
心はよしゑ君がまにまに
- 歌の意味
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母にさえ言わずに包み隠してきたこの心は、もうどうなってもかまわない。あなたの思うままに。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3285
詞書「反歌」
長歌(第三千二百八十四首)の反歌である。母にさえ打ち明けずに秘めてきた恋心を、今はもうあなたの心のままにゆだねると決意する。長歌は斎瓮を据え竹玉を垂れて天地の神に祈る歌で、左注は、長歌の「妹によりては」は反歌に「君がまにまに」とあるから「君によりては」とすべきであると述べ、この歌を女の歌とみている。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「たらちねの」は「母」にかかる枕詞である。
二句「母にも言はず」は、母にさえも言わずにの意で、係助詞「も」が最も身近な人にも秘めてきたことを強調する。
三句「つつめりし」は、包み隠してきたの意で、「り」は存続、「し」は過去の「き」の連体形である。
四句「心はよしゑ」の「よしゑ」は、ままよ、どうなってもかまわないの意で、ためらいを振り切る気持ちを表す。
結句「君がまにまに」は、あなたの思うままにの意で、心のすべてを相手にゆだねる言葉で結ぶ。
つつむ:包み隠す、秘める
いはひへ:神に供える酒を入れる神聖な甕
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今さらに恋ふとも君に逢はめやも 寝る夜をおちず夢に見えこそ
- 次の歌
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天地の神を祈りて我が恋ふる 君いかならず逢はずあらめやも