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天地の神を祈りて我が恋ふる
君いかならず逢はずあらめやも

歌の意味
天地の神々に祈って私が恋い慕うあなたに、必ず逢えないということがあろうか、きっと逢える。
鑑賞
巻第十三 相聞 3287

詞書「反歌」
 或る本の長歌(第三千二百八十六首)の反歌である。天地の神々に祈ってきたのだから、恋するあなたに逢えないはずがないと、祈りの力を信じて言い切る。長歌は倭文幣を手に取り竹玉を繁く垂らして天地の神に祈る歌である。本巻の第三千三百六首の「天地の神を祈れど我れは思ひ増す」、第三千三百八首の「天地の神をも我れは祈りてき」も同じく天地の神への祈りを詠むが、本歌がひたすら逢える確信を示すのに対し、後の二首は祈っても恋がやまないと嘆く点で対照的である。
 作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。

 初句「天地の」は、天の神と地の神とを合わせていう語で、祈りの対象のすべてを示す。
 二句「神を祈りて」は、神々に祈っての意で、長歌の「天地の神をぞ我が祷む」を受ける。
 三句「我が恋ふる」は、私が恋い慕うの意で、連体形で次の「君」を修飾する。
 四句「君いかならず」の「い」は主語を強める古い助詞で、「君は必ず」の意となる。
 結句「逢はずあらめやも」の「めや」は反語、「も」は詠嘆で、「逢わないことがあろうか、きっと逢える」と強く打ち消して結ぶ。

あめつち:天と地、天の神と地の神
しつぬさ:日本古来の織物の倭文で作った、神に捧げる幣
出典
万葉集
前の歌
たらちねの母にも言はずつつめりし 心はよしゑ君がまにまに
次の歌
いにしへの神の時より逢ひけらし 今の心も常忘らえず