うつせみの命を長くありこそと
留まれる我れは斎ひて待たむ
- 歌の意味
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この世の命が長くあってほしいと、あとに残った私は身を慎み神に祈って待とう。
- 鑑賞
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巻第十三 相聞 3292
詞書「反歌」
長歌(第三千二百九十一首)の反歌である。地方の国司として旅立つ夫の命の無事を願い、残された妻が身を清め神に祈って帰りを待とうと詠む。長歌は、大君の任命のままに鄙の国を治めに旅立つ君との別れを惜しみ、言うべきこともなすべきこともわからないと嘆く歌である。反歌は嘆きから、待つ者としての決意と祈りへと心を移している。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「うつせみの」は、この世の、現実のの意で、「命」にかかる枕詞としても働く。
二句「命を長く」は、命が長くの意で、旅立つ人の無事を最も大切なものとして願う。
三句「ありこそと」の「こそ」は願望の終助詞で、「あってほしいと」と祈りの言葉を示す。
四句「留まれる我れは」は、あとに残っている私はの意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。長歌の「後れたる我れ」を受ける。
結句「斎ひて待たむ」の「斎ふ」は、身を慎んで神に祈るの意で、意志の「む」で待つ決意を示して結ぶ。
うつせみ:この世に生きている人、現世
いはふ:身を清め慎んで神に祈る
- 出典
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万葉集
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いにしへの神の時より逢ひけらし 今の心も常忘らえず
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み雪降る吉野の岳に居る雲の 外に見し子に恋ひわたるかも