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み雪降る吉野の岳に居る雲の
外に見し子に恋ひわたるかも

歌の意味
雪の降る吉野の岳にかかっている雲のように、遠くからよそながら見たあの子に、ずっと恋い続けていることだ。
鑑賞
巻第十三 相聞 3294

詞書「反歌」
 長歌(第三千二百九十三首)の反歌である。吉野の岳にかかる雲を序として、遠くからよそながら見ただけの娘に恋い続けると詠む。長歌は、御金が岳に雨が絶え間なく降り、雪が時を選ばず降るように、絶えず妹に恋い焦がれると歌う。この長歌は巻第一の第二十五首の天武天皇の御製「み吉野の耳我の嶺に時なくぞ雪は降りける」と同じ型をもつ民謡風の歌で、反歌もその雪の山の景を受けている。
 作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。

 初句「み雪降る」の「み」は美称の接頭語で、雪の降る吉野の山の清らかな景を示す。
 二句「吉野の岳に」は、吉野の高い山にの意で、長歌の御金が岳を受ける。
 三句「居る雲の」は、かかって動かない雲のの意で、ここまでが「外に」を導く序詞である。
 四句「外に見し子に」の「外に」は、遠くから、よそながらの意で、親しく言葉を交わすこともなく見ただけの娘をいう。
 結句「恋ひわたるかも」の「わたる」は、ずっと続けるの意で、詠嘆の「かも」とともに、長く続く片思いを嘆いて結ぶ。

ゐる:雲などがじっとかかってとどまる
こひわたる:恋い続ける
出典
万葉集
前の歌
うつせみの命を長くありこそと 留まれる我れは斎ひて待たむ
次の歌
父母に知らせぬ子ゆゑ三宅道の 夏野の草をなづみ来るかも