天地の神をも我れは祈りてき
恋といふものはかつてやまずけり
- 歌の意味
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天地の神々にも私は祈ったのだった。けれども恋というものは、まったくやまないものだった。
- 鑑賞
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巻第十三 問答 3308
詞書「反歌」
娘子の答えの長歌(第三千三百七首)の反歌である。天地の神にも祈ったが、恋というものはまったくやまなかったと答える。前の男の反歌(第三千三百六首)の「いかにして恋やむものぞ天地の神を祈れど」に対し、自分も同じく祈ったがやまなかったと応じて、二人の思いが同じであることを伝える。問いと答えが同じ語句で照応する問答歌の典型である。長歌は、八年もの間、髪を切りそろえた幼い頃から橘のほつ枝を過ぎる年頃まで、川の水底のように心長くあなたの心を待ってきたと歌う。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「天地の」は、男の反歌と同じ語で始め、問いを受けて答える形をとる。
二句「神をも我れは」の「も」は、あなたと同じく私もという気持ちを含み、男の反歌の「我れは」と対応する。
三句「祈りてき」は、祈ったのだったの意で、完了の「つ」と過去の「き」で、すでに試みたことを示し、ここで句切れとなる。
四句「恋といふものは」は、恋というものはの意で、恋を一般化して述べる。字余りの句である。
結句「かつてやまずけり」の「かつて」は打消を伴って、まったく、少しもの意である。「けり」は気づきの詠嘆で、恋がやまないことを改めて知った思いで結ぶ。字余りの句である。
あめつち:天と地、天の神と地の神
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いかにして恋やむものぞ天地の 神を祈れど我れは思ひ増す
- 次の歌
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隠口の泊瀬小国に妻しあれば 石は踏めどもなほし来にけり