馬買はば妹徒歩ならむよしゑやし
石は踏むとも我はふたり行かむ
- 歌の意味
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馬を買ったならば、おまえが歩くことになるだろう。ええ、ままよ、石を踏んで行こうとも、私は二人で歩いて行こう。
- 鑑賞
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巻第十三 問答 3317
詞書は前の歌に続き「反歌」
前の反歌に続く一首で、問答の右四首の結びにあたる。妻の願いに対し夫が、鏡や領巾を手放して馬を買えばおまえが歩くことになるだろうから、石を踏む道でも二人で歩いて行こうと答える。長歌(第三千三百十四首)以下の妻の訴えに応じる夫の答歌であり、妻を思いやる温かい心が一連の問答を和やかに締めくくる。本巻の第三千三百十一首にも「石は踏めども」とあり、石を踏む苦労をいとわない心が通い合っている。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「馬買はば」は、馬を買ったならばの意で、長歌の妻の「馬買へ我が背」を受ける。
二句「妹徒歩ならむ」は、おまえが徒歩になるだろうの意で、ここで句切れとなる。妻の大切な品を手放せば妻が苦労するという思いやりを示す。
三句「よしゑやし」は、ええ、ままよの意で、迷いを振り切る気持ちを表す。
四句「石は踏むとも」の「とも」は逆接の仮定で、石の多い道を踏もうともの意である。
結句「我はふたり行かむ」は、私は二人で歩いて行こうの意で、意志の「む」で結ぶ。字余りの句である。
いも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
かち:徒歩で行くこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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まそ鏡持てれど我れは験なし 君が徒歩よりなづみ行く見れば
- 次の歌
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杖つきもつかずも我れは行かめども 君が来まさむ道の知らなく