さ夜更けて今は明けぬと戸を開けて
紀へ行く君をいつとか待たむ
- 歌の意味
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夜が更けて、もう夜が明けたと戸を開けて紀伊へと旅立って行くあなたを、いつ帰ると思って待てばよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 問答 3321
詞書は前の歌に続き「反歌」
前の反歌に続く一首である。夜明けとともに戸を開けて紀伊へ旅立つ夫を見送り、いつ帰ると思って待てばよいのかと嘆く。長歌(第三千三百十八首)の、紀伊へ行った夫を待つという主題を、旅立ちの朝の場面に遡って描いている。結句「いつとか待たむ」は本巻の第三千二百五十二首と同じで、旅立つ人を見送る女の歌に共通する結びである。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「さ夜更けて」の「さ」は接頭語で、夜が更けての意である。別れの時が迫る夜の時間を示す。
二句「今は明けぬと」は、もう夜が明けたとの意で、完了の「ぬ」が夜明けの到来を告げる。
三句「戸を開けて」は、家の戸を開けての意で、旅立ちの動作を具体的に描く。
四句「紀へ行く君を」は、紀伊の国へ行くあなたをの意で、長歌の「紀の国」を受ける。
結句「いつとか待たむ」は、いつ帰ると思って待とうかの意で、係助詞「か」の結びとして「む」が連体形となる係り結びである。第三千二百五十二首と同じ結句である。
さよ:夜、「さ」は接頭語
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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直に行かずこゆ巨勢道から石瀬踏み 求めぞ我が来し恋ひてすべなみ
- 次の歌
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門に居る我が背は宇智に至るとも いたくし恋ひば今帰り来む