つのさはふ磐余の山に白栲に
かかれる雲は大君にかも
- 歌の意味
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磐余の山に白い布のようにかかっている雲は、亡き皇子なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 挽歌 3325
詞書「反歌」
長歌(第三千三百二十四首)の反歌である。皇子を葬った磐余の山にかかる白い雲に、亡き皇子の面影を見いだす。長歌は、藤原の都で仕えた皇子が、春は植槻の丘に登って国見をし、秋は萩をめで、冬は梓弓を手に遊んだ日々を回想し、城上の道から磐余を見ながら葬ったことを嘆く、皇子に仕えた舎人の挽歌である。誰への挽歌かについては高市皇子とする説などがある。反歌は、雲に亡き人の魂の姿を見る古代の信仰に基づいている。
作者は未詳である。巻第十三は作者名を記さない長歌とその反歌を中心に編まれた巻で、古い歌謡や儀礼の歌の面影を伝える歌が多い。
初句「つのさはふ」は「磐余」にかかる枕詞で、語義は未詳とされる。
二句「磐余の山に」の「磐余」は、現在の奈良県桜井市西部の地名で、長歌の「磐余を見つつ」を受ける。
三句「白栲に」の「白栲」は、楮などの繊維で織った白い布で、雲の白さのたとえとする。長歌で殯宮を白栲で飾ったこととも響き合う。
四句「かかれる雲は」は、かかっている雲はの意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
結句「大君にかも」は、亡き皇子であろうかの意で、係助詞「か」に詠嘆の「も」を添え、結びを省いた形で余韻を残す。
しろたへ:楮などの繊維で織った白い布
おほきみ:天皇や皇子を敬っていう語
あらきのみや:葬るまでの間、亡骸を安置して祭る宮、殯宮
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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門に居る我が背は宇智に至るとも いたくし恋ひば今帰り来む
- 次の歌
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衣手葦毛の馬のいなく声 心あれかも常ゆ異に鳴く