家人の待つらむものをつれもなき
荒礒を巻きて寝せる君かも
- 歌の意味
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家の人が待っているだろうに、縁もゆかりもない荒磯を枕にして寝ておられるあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第十三 挽歌 3341
詞書は前の歌に続き「反歌」
前の反歌に続く一首である。家族が待っているであろうに、縁もない荒磯を枕にして横たわる死者を悼む。長歌(第三千三百三十九首)の「浦ぶちを枕に巻きて」を受け、待つ家族と見知らぬ土地に倒れた死者とを対比させる。次の第三千三百四十二首、第三千三百四十三首とともに、同じ死者に向けて言葉を重ねる一連をなし、第三千三百四十三首とは「つれもなき」「つれもなく」の語を共有する。
作者の調使首は、調使を氏とし首を姓とする人で、名は伝わらない。備後国の神島(現在の広島県福山市付近とされる)の浜で行き倒れた人の屍を見て歌を作ったことが知られるのみである。
初句「家人の」は、家に残る家族の意で、死者の帰りを待つ人々を示す。
二句「待つらむものを」は、待っているだろうにの意で、「らむ」は現在推量、「ものを」は逆接の詠嘆である。
三句「つれもなき」は、縁もゆかりもないの意で、死者にとって見知らぬ土地であることを表す。
四句「荒礒を巻きて」の「巻く」は枕にするの意で、荒磯を枕にして横たわる姿を描く。
結句「寝せる君かも」の「寝す」は「寝」の尊敬語で、死者を敬って「寝ておられる」と言い、詠嘆の「かも」で結ぶ。
いへびと:家にいる家族
まく:枕にする
なす:寝ることを敬っていう語、お休みになる
- 作者
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調使首
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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母父も妻も子どもも高々に 来むと待つらむ人の悲しさ
- 次の歌
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浦ぶちにこやせる君を今日今日と 来むと待つらむ妻し悲しも