浦ぶちにこやせる君を今日今日と
来むと待つらむ妻し悲しも
- 歌の意味
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浦の淵に倒れ伏しておられるあなたを、今日か今日かと帰りを待っているであろう妻が悲しいことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 挽歌 3342
詞書は前の歌に続き「反歌」
前の歌に続く一首である。浦の淵に横たわる死者を、今日こそは帰るかと待ち続けているであろう妻を思いやって悲しむ。前歌の「家人」から「妻」へと焦点を絞り、残された者の悲しみへと視点を移している。
作者の調使首は、調使を氏とし首を姓とする人で、名は伝わらない。備後国の神島(現在の広島県福山市付近とされる)の浜で行き倒れた人の屍を見て歌を作ったことが知られるのみである。
初句「浦ぶちに」の「浦ぶち」は、入り江の水際、浦の淵の意で、長歌の「浦ぶちを枕に巻きて」を受ける。
二句「こやせる君を」の「こやす」は横たわる意の尊敬語で、倒れ伏しておられるの意である。「る」は存続の「り」の連体形である。
三句「今日今日と」は、今日か今日かとの意で、同じ語を重ねて待ちわびる気持ちを強める。
四句「来むと待つらむ」は、帰るだろうと待っているであろうの意で、第三千三百四十首と同じ句を用いる。
結句「妻し悲しも」の「し」は強意の副助詞で、「悲し」に詠嘆の「も」を添えて、妻の身を哀れんで結ぶ。
うらぶち:入り江の水際、浦の淵
こやす:倒れ伏しておられる、横たわる意の尊敬語
- 作者
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調使首
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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家人の待つらむものをつれもなき 荒礒を巻きて寝せる君かも
- 次の歌
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浦波の来寄する浜につれもなく こやせる君が家道知らずも