駿河の海おし辺に生ふる浜つづら
汝を頼み母に違ひぬ
- 歌の意味
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駿河の海の磯辺に生える浜つづらのように、あなたを頼りにして母の言うことに背いてしまった。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3359
詞書は前の歌に続き「相聞」
浜辺に長く延びる浜つづらのように、恋人を頼みにして母の意向に背いてしまったと告白する女性の歌である。恋のために親に逆らった決意と、その後の心細さとが響き合っている。
本文に「一に云ふ、親に違ひぬ」と結句の異伝を注する。左注に「右五首駿河国歌」とあり、駿河国歌五首の最後である。娘の結婚に母が強く関わった当時の習俗がうかがわれる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「駿河の海」は駿河湾をさす。六音の字余りで、ゆったりとした調子で海を示して始まる。
二句「おし辺に生ふる」の「おし辺」は磯辺の意とされる。「生ふる」は生えている浜つづらを導く。
三句「浜つづら」は浜に這う蔓草で、長く延びることから「絶えず頼む」意をこめる。初句からここまでが序詞である。
四句「汝を頼み」の「汝」は相手を親しんで呼ぶ語である。浜つづらがすがりつくように相手を頼みとする。
結句「母に違ひぬ」の「違ひぬ」は背いてしまったの意で、「ぬ」は完了である。「一に云ふ」では「母」を「親」とする。
おしへ:磯辺の意とされる
はまつづら:浜に生える蔓草
たがふ:背く
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さ寝らくは玉の緒ばかり恋ふらくは 富士の高嶺の鳴沢のごと
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伊豆の海に立つ白波のありつつも 継ぎなむものを乱れしめめや