足柄のをてもこのもにさすわなの
かなるましづみ子ろ我れ紐解く
- 歌の意味
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足柄山のあちらこちらに仕掛けた罠の鳴子が静まっている間に、あの子と私は紐を解いて共寝をする。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3361
詞書は前の歌に続き「相聞」
足柄山のあちこちに仕掛けた罠の鳴子が鳴りやんだ静かな間に、恋人と紐を解いて共寝をするという歌である。狩猟の暮らしに根ざした比喩で、人目を忍ぶ逢瀬の緊張と喜びを表している。
本歌から十二首が相模国(現在の神奈川県)の歌で、左注に「右十二首相模国歌」とある。足柄を詠む歌が多く、足柄峠が東国への境として意識されていたことがうかがわれる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「足柄の」は相模国の足柄山をいう。相模国歌の一首目に足柄が現れ、第三千三百六十三首、第三千三百六十四首、第三千三百六十七首、第三千三百六十八首と足柄の歌が続く。
二句「をてもこのもに」の「をても」は向こうの面、「このも」はこちらの面で、あちらこちらにの意である。本巻の第三千三百九十三首にも「をてもこのもに」の句がある。
三句「さすわなの」の「さす」は仕掛ける意で、獣を捕らえる罠をいう。初句からここまでが序詞である。
四句「かなるましづみ」の「かなる」は鳴子の鳴る音とされ、「ましづみ」はそれが静まる間の意とされる。騒がしい世間の噂の静まる間を重ねるとみる説もある。
結句「子ろ我れ紐解く」の「子ろ」は親しみを込めた呼び方で、「紐解く」は共寝をすることをいう。
をてもこのも:あちらの面とこちらの面
かなる:鳴子などが鳴る音とされる
ましづむ:静まる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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伊豆の海に立つ白波のありつつも 継ぎなむものを乱れしめめや
- 次の歌
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相模嶺の小峰見そくし忘れ来る 妹が名呼びて我を音し泣くな