相模嶺の小峰見そくし忘れ来る
妹が名呼びて我を音し泣くな
- 歌の意味
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相模の山の峰々を見過ごして忘れかけて来たのに、いとしい人の名を呼んで、私を声をあげて泣かせるな。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3362
詞書は前の歌に続き「相聞」
相模の山々を見過ごしながら旅をして、ようやく忘れかけていた恋人を、その名を呼んで思い出させ泣かせないでくれという歌である。旅の途中で故郷の人を思う切なさが表されている。
左注に或本の歌として「武蔵嶺の小峰見隠し忘れ行く君が名懸けて我を音し泣くる」を記す。或本では女性の立場の歌となっており、うたい替えの様子がうかがわれる。相模国歌の一首である。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「相模嶺の」は相模の国の山々をいい、大山や丹沢の山並みとする説がある。
二句「小峰見そくし」の「見そくし」は見過ごしての意とされる。或本では「見隠し」とある。
三句「忘れ来る」は忘れかけてきたことをいう。旅の道のりが恋人を忘れさせつつあったことを示す。
四句「妹が名呼びて」の「名呼びて」は恋人の名を口にすることで、名を呼ぶことは当時重い意味をもった。
結句「我を音し泣くな」の「音し泣く」は声をあげて泣く意、「な」は禁止の終助詞である。我を泣かせるなと結ぶ。
みそくす:見過ごす意とされる
ねなく:声をあげて泣く
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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足柄のをてもこのもにさすわなの かなるましづみ子ろ我れ紐解く
- 次の歌
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我が背子を大和へ遣りて待つしだす 足柄山の杉の木の間か