古典和歌stream

鎌倉の見越しの崎の岩崩えの
君が悔ゆべき心は持たじ

歌の意味
鎌倉の見越しの崎の岩が崩れるように、あなたが悔いるような心は決して持つまい。
鑑賞
巻第十四 東歌 3365

詞書は前の歌に続き「相聞」
 鎌倉の見越しの崎の崩れた岩に寄せて、あなたが後悔するような移り気な心は決して持たないと誓う歌である。「崩え」と「悔ゆ」の音を響かせた、誓いの歌である。
 相模国歌の一首である。見越しの崎は鎌倉の稲村ヶ崎とする説がある。次歌とともに鎌倉の地名を詠む。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「鎌倉の」は相模国の鎌倉で、次歌と第三千四百三十三首にも鎌倉の地名が詠まれる。
 二句「見越しの崎の」は鎌倉の海に突き出た岬で、稲村ヶ崎とする説がある。
 三句「岩崩えの」は岩が崩れることをいい、「崩ゆ」と「悔ゆ」の音の類似から四句を導く。初句からここまでが序詞である。
 四句「君が悔ゆべき」の「べき」は当然、適当を表し、あなたが悔いるはずのという意である。
 結句「心は持たじ」の「じ」は打消意志で、そのような心は決して持つまいと誓って結ぶ。

くゆ:崩れる意と悔いる意を響かせる
出典
万葉集
前の歌
足柄の箱根の山に粟蒔きて 実とはなれるを粟無くもあやし
次の歌
ま愛しみさ寝に我は行く鎌倉の 水無瀬川に潮満つなむか