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ま愛しみさ寝に我は行く鎌倉の
水無瀬川に潮満つなむか

歌の意味
いとしさのあまり共寝をしに私は行く。鎌倉の水無瀬川には、今ごろ潮が満ちているだろうか。
鑑賞
巻第十四 東歌 3366

詞書は前の歌に続き「相聞」
 恋人への思いがつのって共寝をしに出かけるが、途中の鎌倉の水無瀬川に潮が満ちて渡れなくなっていないかと案じる歌である。逢いに行く心のはやりと、行く手を阻むものへの不安が並んでいる。
 相模国歌の一首で、前歌に続いて鎌倉の地名を詠む。水無瀬川は鎌倉の稲瀬川とする説がある。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「ま愛しみ」の「ま」は接頭語、「み」は原因、理由を表し、いとしさのためにの意である。本巻の第三千四百六十六首も同じ初句で始まる。
 二句「さ寝に我は行く」は共寝をしに私は行くの意で、八音の字余りである。二句切れである。
 三句「鎌倉の」は前歌の「鎌倉の見越しの崎」に続き、再び鎌倉の地名を詠む。
 四句「水無瀬川に」は鎌倉を流れる川で、稲瀬川とする説がある。
 結句「潮満つなむか」の「なむ」は「らむ」にあたる東国方言で、現在推量を表し、「か」は疑問である。

みなのせがは:鎌倉を流れる川。稲瀬川とする説がある
出典
万葉集
前の歌
鎌倉の見越しの崎の岩崩えの 君が悔ゆべき心は持たじ
次の歌
百づ島足柄小舟歩き多み 目こそ離るらめ心は思へど