あしがりの箱根の嶺ろのにこ草の
花つ妻なれや紐解かず寝む
- 歌の意味
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足柄の箱根の山のにこ草の花のような、眺めるだけの妻だからというのか。紐も解かずに寝ることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3370
詞書は前の歌に続き「相聞」
箱根の山のにこ草の花のように、見るだけで触れられない妻だというのか、紐も解かずに独り寝をすることだと嘆く歌である。逢いながらも共寝のかなわない恨みがこめられている。
相模国歌の一首で、第三千三百六十八首から続く「あしがりの」で始まる三首目である。第三千三百六十四首に続いて箱根の山が詠まれる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「あしがりの」は前の二首と同じ初句で、足柄の地名を示す。
二句「箱根の嶺ろの」の「嶺ろ」の「ろ」は東国方言の接尾語で、箱根の山の峰をいう。
三句「にこ草の」は柔らかい草をいい、初句からここまでが「花」を導く序詞である。
四句「花つ妻なれや」の「花つ妻」は花のように眺めるだけの妻の意とされる。「なれや」は反語的な疑問で、そうでもないのにという気持ちをこめる。
結句「紐解かず寝む」は紐を解かずに、すなわち共寝をせずに寝ることをいい、「む」は推量で嘆きをこめて結ぶ。
ねろ:峰の東国方言
にこぐさ:柔らかい草
はなつつま:花のように眺めるだけの妻の意とされる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしがりの麻万の小菅の菅枕 あぜかまかさむ子ろせ手枕
- 次の歌
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足柄のみ坂畏み曇り夜の 我が下ばへをこち出つるかも