足柄のみ坂畏み曇り夜の
我が下ばへをこち出つるかも
- 歌の意味
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足柄の峠の坂が恐ろしいので、曇った夜のように胸に秘めていた私の思いを口に出してしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3371
詞書は前の歌に続き「相聞」
足柄峠の神の坂の恐ろしさに、隠していた恋人の名を思わず口にしてしまったという歌である。峠では神に名を告げる習わしがあったとされ、信仰と恋心が交錯している。
相模国歌の一首である。足柄峠は坂の神をまつる難所で、旅人は手向けをして通ったとされる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「足柄の」は足柄峠をいう。相模国歌で足柄は繰り返し詠まれる地名である。
二句「み坂畏み」の「み坂」は神のいる峠の坂、「畏み」はおそれ多いのでの意である。
三句「曇り夜の」は外から見えない曇った夜で、「下ばへ」の心の内を導く枕詞的な用法である。
四句「我が下ばへを」の「下ばへ」は心の内に秘めた思いをいう。本巻の第三千三百八十一首にも「下延へし」の語がある。
結句「こち出つるかも」の「こち出」は口に出すことで、「つるかも」は完了と詠嘆を表す。
みさか:神のいる峠の坂
したばへ:心の内に秘めた思い
こちづ:口に出して言う
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしがりの箱根の嶺ろのにこ草の 花つ妻なれや紐解かず寝む
- 次の歌
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相模道の余綾の浜の真砂なす 子らは愛しく思はるるかも